大阪工業大学
萌芽の景
辻尾 緑 / 空間デザイン学科 建築デザイン研究室
児童養護施設を設計する。虐待などによって心に傷を負った子どもたち。彼らが社会的自立できていない現状。この現状を解決するために「余地のある建築」を提案する。計画地は大阪新金岡にある団地の一棟。完結した部屋が並ぶこの場所に、余地を見出す。そこに介入してくる様々な要素は、何も感じないことを最大の防御としてきた子供たちが、何かを感じるようになるための手助けになる。様々な環境をはらむ空間を作り、子供たちはその建築をからまりしろに自分で場所を創り出す。その場所は彼らの「居場所」へと変わっていく。「居場所」を創る時の小さな発見や感動を他の誰かと共有したいと感じ始めた時、 彼らは他者と関わる準備ができたことになる。 そうして初めて団地に取り残された高齢者と施設の子供たちの生活を少し近づける。そこには互いに必要とし合える関係があり、それを見出していくことが彼らが社会に出て行くきっかけになっていくと考えた。