拓殖大学
フォトグラフィック表現による妖怪図説の制作
伊藤夏海 / 工学部デザイン学科 視覚デザイン研究室
古くから日本では妖怪を、キャラクターとして取り入れている作品が多くある。また、時代に合わせた妖怪を出すことで、世代を問わず大きな人気を集めているが、古くから伝わってきた妖怪と現代の妖怪とでは、その誕生の由来や持っている情報に大きな違いがある。
古典妖怪は風習や文化、または非日常的なことが積み重なっていき、「妖怪」という形と現れることが多い。それに対し現代の妖怪は、日常社会や対人関係での問題への注意喚起として、「妖怪」が用いられることがある。また、古典妖怪に対し新たに情報を付加したり、古くからの情報を改変することで、現代に合わせたキャラクターとして作り替えることがある。
確かに古くからの風習や文化は時代とともに移ろうものだが、こういった意図的な情報の作り替えは、いつしか古くから伝わっている情報として、すり替わってしまうのではないのだろうか。
そこで今回、新たに付加された情報や、改変された情報を取り除き、古典妖怪が持つ由来や情報を、写真に合成や加工を用いて表現したものを制作した。