拓殖大学
「紙育」のための立体紙見本の提案
今村文弥 / 工学部デザイン学科 用品設計研究室
紙は情報伝達の他、さまざまな用途に使用されてきたが、近年、紙の性質をいかしてつくられていたものが別の材料に替わるなど、時代による変化が見られる。さらに電子媒体の普及により、紙の使用頻度が少なくなることが予測されるが、紙は生活の中において不変の材料であると考える。本研究では、紙が持つ要素を伝える取り組みとして「紙育(かみいく)」を提案し、紙育の場面において活用する立体紙見本を制作した。制作した立体紙見本は、(1)紙の基本的性質(厚さ、重さ)と構造的性質(密度)を視覚および触覚で知るもの、(2)紙の構造的性質(平滑度)を触覚で知るもの、(3)紙の力学的性質(曲げこわさ)を触覚で知るもの、(4)紙の光学的性質(光沢度)を視覚で知るもの、(5)紙の光学的性質(透過度)を視覚で知るもの、(6)紙の加工性を視覚で知るもの、以上6種類である。紙の性質をよりわかりやすく伝えるために、視覚と触覚を組み合わせるアイデアを採用したことにより、楽しみながら紙を理解することができる立体紙見本となったと考える。