金沢美術工芸大学
「詩」を蒔く空間設計
原 友望実 / 美術工芸研究科 デザイン専攻 環境デザインコース
本研究では、詩、すなわち文学の持つ抽象性を空間として具現化することで、その場所を特徴付ける提案をした。モチーフとして金沢ゆかりの作家、室生犀星を選定した。彼が幼少期を過ごした地域である野町、寺町周辺に対し、彼の文学や彼自身の経験から取り出した「孤独」「憐れみ」「儚み」の3つのワードをテーマにそれぞれの空間を計画している。これら3つが室生犀星記念館の延長として、人の心に「詩」を蒔くためのフィールドミュージアムを構築する。そこでは、文学と実空間が混ざり合い、一人の作家を通じて文学的体験を表象する空間が創り出される。来訪者は周辺地域を観光すると同時に、金沢文学の魅力に触れることができる。「詩」を蒔かれた来訪者の心は、普段の生活風景の中に、特別な価値を見出す事ができるようになる。