金沢美術工芸大学
CRY-MAX
山田 詩音 / 美術工芸学部 デザイン科 視覚デザイン専攻
例えば、同じ目標を持った人が二人いたとして。一人はそれを簡単に手に入れ、もう一人は上手く行かなくて泣いて転んで、必死になってやっと手に入れることができたとしたら。「おもしろい人生」はどちらなのでしょうか。あらゆる些細な事につまづいて苦しんで、それでも必死に生きていくことが、僕が僕に望むドキドキとした生き方です。
この作品は、主人公の男の子が遠くに見える旗を目指すアニメーション映像です。自分だけに吹きすさぶ暴風の中を一歩ずつ、目を腫らして泣きながら彼は進んでいきます。劇中、戸惑いに泣いて、自分の無力に絶望して泣いて、悔しくて泣いて、自分の心に整理をつけられなくて泣いて、でも苦難の中で諦めず、決意して泣きながら進んで、そして嬉しくて泣いて。
決してスマートではない彼の人生を嘲る人は少なからずいるのでしょうが、それでも彼にとってそれは「おもしろい人生」なのです。
本来のクライマックスの綴りはclimax。そしてこのお話は涙と熱に浮かされた物語CRY-MAXです。
これから先の人生で熱を失わないために、いつだってドキドキと生きているために。「君の人生の目標は何?」そう問われたときに「この作品のように生きることだ」と返す答えを作りたくて、僕はこの作品を作りました。もしよければ、こんな青臭い考えでも、この作品を通して誰かに響きますように。