金沢美術工芸大学
趣(おもむき)
川崎 友寛 / 美術工芸学部 デザイン科 製品デザイン専攻
現在使用されている車内販売ワゴンは機能性に重きがおかれ、より良い旅を提供してくれる体験価値への配慮が薄いと思われる。そこで伝統産業が息づく北陸と東京を結ぶ北陸新幹線に相応しい車内販売ワゴンを提案する。販売員が効率よく作業を行うことのできるユーティリティースペースを設け、商品を渡す所作を美しく魅せるトレーを考案した。また、狭小な通路における商品を取り扱いやすいレイアウトを検討した。さらに、お土産や商品はショーウィンドーのようにディスプレイされており、乗客は選ぶ楽しみを味わうことができる。ワゴンは全体に丸みを帯び優雅で柔らかい印象を持たせた。従来の金属の無骨な印象を取り払い、和の風合いを表現するため、古くから食事や祭事などにおけるおもてなしを象徴する朱色と落ち着いた黒を用いることで、上品な車内インテリアとの調和を計った。このワゴンの導入により、乗客の体験価値が創造されることを期待する。