東京造形大学
折り紙に学ぶ、和紙の立体のかたち
金口 誠 / デザイン学科インダストリアルデザイン専攻領域
私は、自らの出身地、鳥取県のものづくりを調べたことをきっかけに、和紙づくりに関心を持った。それから、現代の生活の中で和紙に触れることが少なくなっていること、写書材としての役割も限られていることをふまえ、和紙で立体をつくることでその用途の可能性を広げることを本研究のテーマに掲げた。和紙づくりの歴史を振り返ると、かつて和紙は多様な技法によって様々な特性を持ったものが生みだされ、現代の布のように生活文化材として広く活用されたことがわかる。本研究ではその多様な技法のうち「透かし」という伝統ある技法を、素材の厚み・強度を操作する技法と解釈し、立体折り紙のかたちづくりと掛け合わせ、和紙ならではの立体のかたちを表現することをコンセプトとした。また本研究では和紙づくりを漉き工程から実践することとして、「透かし」に必要となる型板からデザインを行った。アクリル板をレーザーカッターで加工し、迅速に行う型板づくりは、現代の技術の恩恵を強く受けるものであり、新しい和紙づくりの提案となっている。