東京造形大学
枯れ尾花
清水 彩那 / デザイン学科写真専攻領域
時々ふと、なんでもない路の暗がりや部屋のすみっこに何かが居るような、蠢いているのではないかというようなことを考え、畏れたり楽しんだりすることがある。
今でこそ、それがどこか馬鹿馬鹿しくおかしな妄想だと笑えることであるが、幼い頃は皆そうもいかなかったのではないだろうか。
さらにふり返ると、かつて木に、岩に、水に、山に、塚に、闇に、言葉では表せない大きなものが宿っているのを見ていた先人たちのその光景を、自らの奥底でまだ覚えているのではないか。
我々は忘れているだけで、目には見えない何かを見る力はあるはずである。
そのような思考のもと、まずは先人たちがよく見ていたであろう自然の中に何かしらの姿を見出し、それを現代の暮らしの中にも再現できないかと試みた。
この時代にもまだ、少しずつ姿や特性を変えながらこっそりと潜んでいる奇妙な者たちがそこらに居てもいいのではないかと思う。