東京造形大学
海の寄る辺
小堤 悠香 / デザイン学科アニメーション専攻領域
自分が今まで描きたかった、子どもの動き、子どもの世界観の追求。大人にはない子どもの柔らかでままならない動き、二人の少年各々で動きに個性を出すことを作画面の目標とした。自分の考える子どもの純真さと成長を、自分なりに表現すること。
子どもの頃は大人によって決められた世界で遊び場を探すしかない。少しは自分で範囲を広げることはできるが、大人の都合でいつでも変えられてしまう。それでも子ども達は上手く適応する。大人にいつもいたずらをする少年達の心にも信じる拠り所があり、純粋にそれを信じている。海の知らない少年達は、ラジオから聴こえるノイズを波音と信じていた。拠り所が全て奪われたとき、想像ではない本物を見に行こうと決心する。それは、少年達が自らの脚で新たな居場所を見つけに行くという成長だ。途中すれ違う一人の子は過去の自分達であり、自分の居場所が見つけられていない子どもである。決められた世界に不満を言うだけよりも、そこでどんな楽しみを見け、上手く過ごすかが大事なのではないだろうかという意味を込めて制作した。この少年は私のかわいい子ども達である。