東京造形大学
無垢の歌
大場 咲子 / 美術学科絵画専攻領域
私が追求したいテーマは、人間の持っている無限の想像力で純粋な幻想画を描く事です。幼少の頃の私には、空想と現実の境目がなく、全てが同次元に存在していました。得体のしれない物を怖がりながら、美しく可愛い現実の物に囲まれて遊びました。大人になり、空想と現実に境目ができましたが、頭の中には重なり合う記憶と想像力により、空想世界はより具体化してきました。その世界を描写してみようと思いました。脳裏に浮かぶ世界をダイレクトに描くため、参考資料や実物のデッサン、下描きは一切行いません。脳から肉体を通じ、銅板とシンクロさせ、ニードルで細胞を刻むように具現化しました。記憶は、曖昧な部分と詳細な部分が混在しており、多重構造で形作られています。ゆるやかな線と繊細な描写を織り交ぜ、モチーフの濃淡を画一化しないように表現しました。