東京造形大学
Wrap
白石 倫代 / デザイン学科テキスタイルデザイン専攻領域
糸という素材からなる多くのテキスタイルの中でもより形態に添うという点で、また包む守るということにも適し、身につける衣類に多く用いられる「ニット・編み」。一本の糸のループの連なりによって生まれるため、経糸緯糸による織りの布よりも伸縮性や復元性またクッション性に富む。それらニットのもつ緩衝剤のような役割自体を、身体と空間の間で捉え直し、面ではなく立体として人の動きに寄り添い身体を保護する”身体に寄り添う”ニットを提案した。身体のかたち、動作や機能に沿って設計されるニットは、たった一本の糸から編み方や組み方によって、厚さや強度、面から立体までをも自由自在に作り上げられるため、オーダーメイドの家具のように使う人によって望まれる形態が実現可能だ。ただ床に敷いておくだけではなく、しかし身につけるわけではない。空間に存在することでニットは人の行動に添い、やわらかく包み身体と空間をつなぐ。