東京造形大学
蠢蠢
森 麻衣子 / デザイン学科写真専攻領域
三年飼ったハムスターが死んだ。「最後なんだから触ってあげなさい」と死骸を両手で差し出されたとき、 触れるのが妙に怖かった。 動揺と本当はまだ生きているんじゃないかという淡い期待で、 表面の毛一本一本がざわざわ蠢いているように感じた。 ちょっとだけ触ったら 冷たくて動かなくて、その感触で色々なことがわかった気がしてとても怖くなった。 この写真を撮りながらそんなことを思い出した。
普段出会うはずがないものが合わさるとそこにはひとつの世界が生まれる。
その世界を垣間見たとき私は自分の心にざわめきを感じる。被写体一つ一つの蠢きを切り取り残さなければという衝動に駆られる。
私しか見ていないその世界を誰かに見せたかったのかもしれない。