東京造形大学
雑草と、それにまつわる小さなはなし
吉田 かな子 / デザイン学科テキスタイルデザイン専攻領域
昔から花や草が好きだった私は、外に出ればそこら中に生えている雑草と長い間接してきた。いつの間にか雑草たちの名前を覚え、季節が巡る度その思い出は増えていく。地面を見てみると気づかないうちにきれいな花を咲かせた雑草が生えている。ひかえめでシンプルで儚く、でもどこか力強くひとりでにちゃんと葉を伸ばし花を咲かせる雑草の姿に今でも私は心惹かれてしまう。冬、地面を覆う茶色が、暖かくなり緑へ変わる時、いつの間にか伸びた新しい芽がまたつぼみをつけ花を咲かせる。「またあえたね」思わず声をかけたくなる。雑草たちは変わらずひとりでにしっかりと伸びていた。その雑草ののびのびとした姿をテキスタイルにし、雑草たちとの思い出をひとつずつ小さな本にした。