卒展レポート

金沢美術工芸大学

第61回 美術工芸学部卒業制作展

  • 金沢市中心部における、歩くことの価値を創出するデザイン研究
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金沢市中心部における、歩くことの価値を創出するデザイン研究

白木 裕也
大学院美術工芸研究科 デザイン専攻 環境デザインコース

藩政期から継承されるまちのつくりの中に、豊かな地域資源が根付く金沢のまち。まちを歩く中でふとした景色からにそれらを感じられることは、このまちの持つ大きな価値といえる。一方でそれらは目に見えにくいのも現状である。本研究では市内寺町・野町地域をフィールドに選定し、地域を訪れた人を対象に、散策を通じてその価値を魅力的に体感できるモデルの創出を試みた。研究では人と地域資源をつなぐ役割として、地域内にみられる音風景に着目。音風景には、歴史や文学、特徴的な地形などと関わりが感じられることを背景に、音風景を媒体に地域資源に触れられる散策体験を提案し実践した。
修士2年次のアウトプットとしては、地域内にある音風景を収集し、建物・地形ではなくオノマトペでマップを作成。体験者は散策の中で、気になるオノマトペを発見したり、地域内を自由に巡ることができる仕掛けとした。また音風景から、その背景に根付く地域資源を紹介する小冊子を作成し、目に見えにくい地域資源を感じ取れる内容とした。これらは学内での検証や学外での散策企画の開催をもとに、仕組み全体の流れを構築することができた。
結果、地域内での歩く価値を創出するひとつのモデルとして提示できたとともに、多様化する地域体験の受け皿としての役割を果たすことができると考察する。

作品一覧