金沢美術工芸大学
crasima -日本の「収納と生活」の研究とデザイン-
横山紗希 / 美術工芸研究科 デザイン専攻 環境デザインコース
日本人は、昔から狭い家の中で豊かに暮らすため、収納に関して様々な知恵を持っていました。布団を寝る時に敷くことで睡眠の空間を作ったり、食事の時にちゃぶ台を出したりなど、必要な時に必要なシーンを創り出す「手間」をかけることを暮らしの一部としていました。しかし近年、手間をかける事を嫌う傾向や、広い空間で使われる欧米風の家具の流入など、生活様式の変化により、片づけられない人が増えています。私はそこに焦点を当て、元来の日本人の知恵と、現代人に受け入れられる手軽さを両立した「片づけやすい」スマートな暮らしについて考えました。
10代後半から20代の女性の1人暮らし生活の中での「座卓」は、限られた部屋のスペースと家具の中で、食事や勉強やPC、お化粧をする等、様々な役割を担っています。しかし、このような多様な使い方を続けると、様々なものが卓上や周辺に出しっぱなしになりがちです。
crasimaは座卓で行う「食事」「事務」「身だしなみ」、この3つのシーンを集約しており、必要な時に必要なシーンを簡単に創り出すことができます。内部はそのシーンごとに使うものを分かりやすく配置してあります。「片づけやすい」に必要なのは、使う場所と仕舞う場所を近く、分かりやすくし、仕舞う動作を極力単純化することです。このルールに則ったcrasimaが、私たちの「片づけられない」を解消します。