金沢美術工芸大学
cafe&shop gallery yae craft
-伝統工芸品の魅力を伝える複合店舗-
嶋田紗邦子 / 美術工芸学部 デザイン科 環境デザイン専攻
「用の美」とされる工芸品だが現代の日常生活では馴染みなく、敷居の高いものになってしまいました。工芸品の専門店に通う人達は、かつてインターネットなどが普及していない時代に「触れる娯楽」を嗜んだ人が多いと考えました。この店舗では、工芸品を「触れる」「使う」「見る」3つの空間から、その魅力を体感することができ、敷居の高かった工芸品を日常生活に取り入れるきっかけを作ってくれます。
店舗の内装では桜の木をモチーフに壁のテクスチャやインテリアをデザインしました。年月をかけて太く逞しい幹から枝分かれし大きく成長していく木々と長い歴史を経て様々な展開をみせる工芸の姿が似ていると感じたからです。販売スペースでは移り変わる商品を「葉」に、カフェでは特別なティータイムを彩るために「花」を、ギャラリーでは歴史と技術が凝縮した美しい作品を「実」に見たて、それぞれの空間に特徴を持たせています。
桜は日本人に馴染み深い樹木です。黒々と無骨な樹皮からは想像できないような淡い色の花を咲かせ、春の訪れを私達に教えてくれます。素朴な工芸品の魅力を思い出し、再び手に取ってもらえることを願いながら制作しました。