金沢美術工芸大学
気配と間の光景
Spectacle of sign and space
山崎智也 / 美術工芸学部デザイン科環境デザイン専攻
全てのモノはその周辺に“気配”を取り巻いている。空間にモノが存在すると、その“気配”が繋がり“間”を生む。現代の生活は様々な物に取り囲まれ、過剰に“気配”が重なり、「想像力を掻き立てる奥行き」や「心奥に留まる余韻」を感じさせる“間”の存在が希薄になりつつある。
そこで私は、既存の空間に「新たな空間性を付加するモノ」を配置することで生じる空間的変化について考察する。
前述の“モノ”として、作品では象徴的に空間を彩るプロダクトである椅子を制作。造形において最大の特徴は全ての部材が“折り”によって形作られている点である。“折り”を加えることで構造的に強度が増し、厚さ3mmの鉄板での構成を可能にする。また、これにより座面・背板に歪みが生じ、しなやかな曲面が生まれ、脚部を構成する平面との対比を生む。様々な面の構成が置かれる環境によって多様な表情を生み、新たな空間性を付加する。