金沢美術工芸大学
Slur ─ Library×Meditation ─
栃折美里 / 美術工芸学部デザイン科環境デザイン専攻
物語や音楽のように、空間も途切れることのないストーリー性のある場であること。それは、まるで五線譜に散りばめられた音符のように、周囲の自然環境や人の行動が空間に新たなメロディーを作り出していく空間体験の連続である。本設計は湖の畔を敷地に、読書という行為を中心に展開していく。5つのフロアで構成された階段のような造形は、表には公共性のある空間、裏の湖にせり出したデッキと小部屋は自然と向き合う個人の空間という、二面性を持った建築である。
内部空間とデッキを繋ぐ柱は、柱自体が小部屋となっており、その中に瞑想空間が広がる。瞑想空間では普段私たちが見ているバランスのとれた自然から一つモチーフを抽出し、空間のディティールとする。その中で、人は光の暖かさや、風の匂い、鳥の歌声、水面の揺らめき、静謐な夜の月に思いを馳せながら変化する自然や日常に神秘性を見いだしていく。