武蔵野美術大学
樹球
池田 頼果 / 基礎デザイン学科
樹木は、表面の樹皮、皮目、あらゆる障害などその場の環境に順応し成長していくなかで生じる凹凸がある。例えばサルスベリの表面はつるつるしているという印象だがそれだけでなく若木、成木、老木と成長していくなかで樹皮色や凹凸の表情はそれぞれ大きく違う。樹の表面を観察することにより今まで樹体を守ってきた背景が見えてくる。それは樹々の個性であり、表情なのだ。私は魅せる樹々の表情を抽出し、表現したいと思った。 「守る」という形態の変化に着目すると、樹木は環境、障害に応じいくらでも肥大化し修正していくものだが動物や人間で例えるとどうだろう。卵の殻や、身を丸くする、など球状なものを連想させる。単純な形態だが球には「守る」という安心感がそこにあるのかもしれない。そこで樹を球体に落とし込んでみた。枝や根のうねりなど普段目にする自然物の樹の形なくし、樹体は球体という制限された形のなかで樹球という新たな自然物を成長させていく。そして新たな表情を浮き上がらせる。