武蔵野美術大学
金魚
加藤 美帆 / 基礎デザイン学科
長年にわたって日本人好みに品種改良されてきた、いわば人工の生き物である金魚。その姿から特徴的な模様や表情を抜き出し、純度を上げてグラフィカルに表現し直してみた。
彼らの視覚性を分析的に整理し、さらなる表現へと発展させることで、美しさ、かわいらしさ、いびつさといった、周囲の環境に与える印象や情緒が顕在化するように思われたからである。
「形の抽出」による14枚の金魚の顔のグラフィックと、アニメーションを制作した。
人が彼らを制御しようとして生まれる作為的な形と、そこから逃れようとする生物としての自然な形。その二つがせめぎ合うことで生まれる金魚特有の情緒を、私たちは潜在的に感じとり、そこに価値や魅力を見いだしてきたのではないだろうか。
視覚表現によって、金魚の存在感の新しいリアリティを立ち上げると同時に、彼らによって誘い出される、私たちの多様で複雑な情感を示したい。