金沢美術工芸大学
CYCLONG
大津寄 信二 / 美術工芸学部 デザイン科 製品デザイン専攻
自転車のタイヤに使用されているゴムチューブは、廃棄後に専門業者が有料で処理をするのが原則である。しかし、現状は自転車ショップ等の裏に山積みにされていることが多い。そこで私は、このゴムチューブに着目し、アップサイクルの意識の向上を目指すと同時に、ゴムの特性を活かして座ることができる椅子「サイクロン」を提案する。
この椅子は、多くの自転車に使用されている26インチのゴムチューブをシンプルに使用することを目指し、構造や座り心地の実施検証を多く行った。
その結果、ゴムチューブ8本をドーナツ状の再生プラスチックスで成型された座面とカンチレバーの金属パイプフレームに通すことで、ゴムの伸縮効果とフレームのしなりを活かした新しい座り心地を実現した。また、ゴムチューブのバルブネジをフレームに開けた穴に差し込み、ロッドピンを用いて座面に固定することで、座面の高さを任意の位置に調整することができる。さらに、ゴムの破損時などの交換も可能である。16インチのサイズ違いのゴムチューブを使用すれば、子供用などへの展開も考えられる。アウトドア等での使用も考慮しており、このサイクロンが普及することで社会のリサイクルへの意識が変わり、ものを大切に工夫する意識が広まることを期待する。