東北工業大学
陶芸による鬼瓦の制作
斎藤英介 / ライフデザイン学部 クリエイティブデザイン学科 ビジュアルデザインコース
私自身を客観したとき、しばし感情的になることで失敗、あるいは後悔することが多々ある。しかし、それは今後も自分が自分である以上付きまとうもので、決して処方できない個性なのだと思う。だからこそその特性を理解し、理性をも凌駕するその元凶を鬼として祀ることで自分自身の戒めとしたいと考えた。
よって作品のモチーフは己の負の感情である。具体的には[蛇の目]が虚勢、[花菱]が排他、[井桁]が萎縮、[亀甲]が錯乱である。これらの感情を司るものとして[御影]を御神体に見立てた。
土という有り触れた素材に木ベラのみを用いて形を形成し、炎に通すことで命を吹き込む。古くは縄文時代から営まれてきた行為だが、実際制作することで自然の尊厳さを何より大きく学ぶことが出来た。自分自身の経験から生まれる感性を信じることの大切さと共に、文化を継承するには心が何より大切であることを身をもって知ることが出来た。