東北工業大学
製本芸術における表現と制作
大友将光 / ライフデザイン学部 クリエイティブデザイン学科 ビジュアルデザインコース
書物の本質はそこに記された情報であることは確かであるが、製本工芸や一般の書籍、電子書籍等々内容を発表・伝達・保存する媒体として考えれば、どれもが書物たりえる必要な要素を揃えている。しかし、その本を生涯所有するとしたら果たしてどうだろうか。仮に内容が同一の本であろうとも、大衆のための一冊と自分の嗜好に合わせて製本された一冊とではその頁を捲る官能は違ってくるはずだ。素材を吟味して時間と手間をかけた一冊は、愛書家の所有欲を満たし読書という行為にこの上ない付加価値を与えるとともに、たんなる記録媒体を越えた美術工芸としての価値をも獲得するのである。それらの書物の1つの在り方を手作業の製本を通して、思索し提示及び制作を行った。