愛知淑徳大学
都市のエネルギー、人間のエネルギー 円筒型都市投影モデルの提案と応用
水野 由衣 / 現代社会学部 都市環境デザインコース
人間は大きなエネルギーを持つ。それはこの社会に力強く生き、豊かな人生を歩むために、人間が生み出す強いエネルギーである。このエネルギーが今日の文化・芸術を創出し、技術を向上させ、社会を形作ってきた。
一方、私たちの生活の中で強くエネルギーを感じる場所として、私は都市を思い浮かべる。規律正しく建ち並ぶオフィス群、華やかに装飾された商業施設、欲望渦巻く歓楽街。必要性により作り上げられた猥雑な都市の姿。それは人間のエネルギーにより作り出された。すなわち都市とは人間のエネルギーそのものと言うことができる。雑多なひしめきあいの中で高く伸びあがる建物、その間を行き交う自動車、地下に根を張る下水管や通信網。それら人間が生み出した社会を内包し、都市は無限の広がりを見せる。
塔は、巨大に膨れ上がった人間のエネルギーを象徴するものとし、都市の中心にそびえ立つ。
建物の立ち並ぶ都市の中で、塔の外観は極めて異様なものとして人々の目に映る。上部へ向かいすぼまり、ねじれた形状の構造体には、不規則に空間が突き刺さる。その、動きを持つ有機的な姿は人間を彷彿とさせ、塔を見上げた者を圧倒させる力強さを持つ。
夜には塔に無数の色の光が浮かび上がる。1つ1つの光ははっきりとした存在感を持ち、それは人間の表情を想像させる。道行く人々は、その壮大な眺めに目を取られ、思わず足を止める。
塔は人間のエネルギーの力強さ、美しさをその壮大な姿で物語る。それは都市に生きる人々の更なるエネルギーとなり、都市の象徴として存在し続けるのである。