愛知淑徳大学
1/fゆらぎを用いた空間デザイン
藤本 麗奈 / 現代社会学部 都市環境デザインコース
直線・直角で構成された現代の都市。しかし、私たち人間を含め生体現象・自然現象はゆらぎをもっている。その中でも突発性と規則性をもった「1/fゆらぎ」は、人間の快適性に関わっていると言われている。
本計画は、「1/fゆらぎ」を建築空間のデザインに応用する手法について検討し、建築空間の新たな可能性を提示したものである。ゆらぎの対象は、内部空間の容積とし、その微分である空間の断面積が時間軸・距離軸上で1/fゆらぎとなっている。また、空間形状が1/fゆらぎであるだけでなく、人々は内部空間を歩いて行くことで時間軸上のゆらぎも経験する。 1/fゆらぎ空間は、人々にどのような印象を与えるのだろうか。sin波・ゆらぎなしを含めた3つの模型と被験者を用いた印象評価実験を行った。その結果「誘導性」「非日常性」に加え、回答の種類が一番多いことから「人によって感じ方が違う」という特徴があることが分かった。この特徴から、用途を多くの市民が利用することができる市民ギャラリーとし、また「インスタレーション」によって1/fゆらぎを作品として体感できるギャラリーを提案する。
いつもの日常から切り離された1/fゆらぎ空間を体感することで、人々は柔軟な発想や普段と違った新しい物の見方が生まれてくるのではないだろうか。この設計がきっかけとなり、人それぞれの応用の仕方が生まれ、今までの固定概念にとらわれない新しい建築空間の可能性が広がることを願う。