愛知淑徳大学
いのちをまもる避難所 ―関連死を減少させる建築のモデルケース―
水野 里絵 / メディアプロデュース学部 都市環境デザインコース
2011年03月11日、前代未聞の大震災が発生した。その被害は甚大で世界に衝撃を与えた。東日本大震災で日本が抱える新たな問題が浮き彫りになった。 数ある震災問題の中で私は増え続ける関連死に着目した。関連死とは津波など地震による直接的な被害ではなく、その後の避難生活での体調悪化や過労など、間接的な原因で死亡することである。そこで私は関連死を減少させる避難所のモデルケースを提案する。学校というパブリックな空間と避難生活というプライベートな空間を転換できる災害に対応した校舎を提案する。通常時は窮屈さを感じさせない、オープンで快適な学校空間をつくり出す。建物を敷地の中央に配置することで裏がない空間ができる。各教室の周りを廊下にすることで行き止まりを減らし、流れがある空間をつくる。常に人の動きが感じられ、多数の場所からの出入りが可能である。災害時はより広く、よりたくさんの空間を作り出すことが要求される。そのために普段の生活で常に使うものをしきりに転換し、手軽に作り出せるプライベート空間を提案する。さらに長期の避難生活では不特定多数の視線や、絶えず聞こえる雑音により、常に気を休めることができないことが大きなストレスとなる。長期の避難生活を想定し遮蔽、遮音設備を考慮する。また空間を横に仕切るだけではなく、縦にも仕切り空間を有効利用することで、一人当たりのスペースを増やすことが可能になる。