愛知淑徳大学
きっかけの制作
河合 柚佳 / メディアプロデュース学部 都市環境デザインコース
道ばたで待ち合わせをしているとき、喫茶店でお茶を飲んでいるとき、図書館で本を読んでいるとき…どこかでなにかをしているときに落ち着かない経験をすることがある。それは、ぞれぞれが自分の空間をつくろうとしているからである。しかし、周囲の人の気配や、自分が置かれている環境によって失敗してしまっているのである。そこで、自分の空間をつくるためのきっかけを制作した。大きさの違う5つの箱は、ロの字(ろのじ)のかたちをしている。そのうち1番大きい箱には、家のかたちをした板がくっついている。組み合わせるとずれていたり、ぴったりだったりすることで隙間ができる。既に用途を規定された空間とは違って「こうすればいいかな」とか「こうしたらどうなるかな」と考えているうちに「自分の空間」がつくられていく。設計では、一般的な机と椅子の高さの差を利用した。一般的な机の高さを700mm、一般的な椅子の高さを420mmとしたときの差は、280mmになる。高さの差が280mmになる組み合わせは5種類あるので、状況によって高さを選ぶことができる。制作は、岐阜県の御嵩町で家具制作をしている工房をお借りし、実物大の大きさで表現するための素材として国産材では最も軽い桐を選択した。座ることができる強度にするということの他に、全ての箱を一人で運べる軽さにすることが重要であったからである。