拓殖大学
工学部 デザイン学科/工学研究科 情報・デザイン工学専攻 第29回「卒業・修了展」
室内防災に寄与するタケ中空構造シェルフの開発
- 妹尾 涼
- 大学院 情報・デザイン工学専攻 室内設計研究室
日本は度々大地震に見舞われており、家具転倒やそれによる退路妨害により、多くの被害を受けている。本研究では、室内防災に寄与する収納家具の要件を抽出し、これを満たす構造を見出すことを目的とし、タケ材を活用した中空構造の提案に至った。
外側板、棚板上部には3㎜のタケ集成材挽板を用い、内側板兼棚板下部にはコの字型に成形したタケ成形合板を用いた。スペーサーにはMDF、芯材にはタケ皮付き1次加工材を用い、底板には厚さ18㎜のタケ集成材を用いることで重心を下げ、倒れにくい構造とした。各部構成は、皮トウとダボによる固定部分とフリー部分を設けることで家具全体に弾性の発揮を期待した。振動実験では、タケ中空構造シェルフはMDFシェルフと比べて広範囲で防振効果を発揮していることが確認できた。耐荷重実験では、荷重をかけた際に棚板が沈み込んだものの側板部分の膨らみは見られず、荷重を取り除いた際の棚板の変位も小さかった。以上の結果をふまえ設計要件をまとめ、各種タケ材の選定、固定部分とフリー部分を設けたことにより、タケ中空構造シェルフは軽量で倒れにくく、転倒時のダメージを軽減し、防振効果を発揮する構造であることが明らかとなった。