本研究の目的は､今日の中学校教育で必修とされている和楽器体験を、より生徒の興味向上につなげる音楽授業を提案することである。箏教材「koto-koto」､箏学習アプリ「e-koto」､そして箏が持つ独特な技法を見える化した簡易体験箏「koto-co」を考案した。授業項目は体験箏による｢音程調節｣と｢演奏体験｣、アプリによる｢演奏視聴｣と｢歴史｣の計４項目で構成した｡割り当てられた3コマの授業時間を､3パートに分けた｡授業開始前にアプリを用いてクラス分けテストを実施し、各生徒に適した授業コースを提示する。初めの２コマはアプリの提示に則って、生徒たちに箏の基本を学習体験させる。そして３コマ目は、それぞれの生徒が最も興味を感じた項目をより深く学ばせる。提案した学習方法による学習意欲の変化について学生20人を対象に調査した｡その結果､「より学びたい」という回答が85％に達した。よって、各生徒に適した授業を実現させることで、若年層における和楽器への興味を向上できることが分かった。