愛知淑徳大学
街中の納骨塔 - 弔い空間のシンボル化 -
松本祐也 / メディアプロデュース学部 都市環境デザインコース
都市部への人口集中や世帯の核家族化による墓地不足、少子高齢化や地方の過疎化による継承者不足。また値段の高騰、継承者への負担などからお墓を建てない、建てられない人の増加。これらの問題からお墓を必要としない直葬、散骨を希望する人が増えている。今日の社会では墓から離れることは合理的なのかも知れない。しかしながら故人と対面する場所は必要である。
死者を弔う空間であるお墓や火葬場は人々から忌み嫌われてきた。生きるエネルギーの弱い、街から離れた場所に追いやられたことで我々は普段の生活から死の空間を目にすることがなくなった。結果として墓参りをはじめとする供養文化が薄弱化し、これから先も続いていく。これを阻止するため、生きるエネルギーの強い都市に人々の意識を変える弔い空間を建築する。空に向かってそびえる納骨塔は弔いを象徴するシンボルとなり、新たな都市の景観となる。普段の生活の中でシンボル化された弔い空間を目にすることで、お墓参りをより身近なものになり、忘れがちな死者への弔いを改めて思い起こす機会となる。