愛知淑徳大学
仙人の集落
古屋あかね / メディアプロデュース学部 都市環境デザインコース
愛知県には“平成の仙人”と呼ばれる人がいる。彼は現代の暮らしから離れ、森に居場所を作り一人で暮らしている。その“平成の仙人”を求めてやってくる人たちがいる。生きることに悩む人や、世間で居場所の無いと感じている大人たちである。そんな彼らに仙人が所有している森で、第二の居場所として一時的に住むことができるようセルフビルドで作るプロトタイプを提案する。
平成の仙人はお金を使わずして生きている。現代の暮らしから離れ、森に居場所を見つけ、住居に必要な材料の調達などすべて自らの手で行ってきた。住宅(居場所)を建築するという経験がないものにとってゼロから家を形作るという作業がどれだけ過酷であるかは想像に難しくない。しかし“平成の仙人”は持てる材料と知恵を駆使してなんとか自らの住まいを創りだそうと森に居場所を作った。彼らは生きるために人として建築を作り出しているのである。わたしは世間で居場所のないと感じる大人たちが自分の居場所を自分の手で作り、仙人の生き方を通して、お金がなくとも生きていける、人生なんとかなる、と世間へ更生していくことを目的としている。わたしはそんな彼らに建築を通して何かできないかと思い、この提案を行う。仙人が森に居場所を作ったように、悩める大人たちもセルフビルドで自分の居場所を作り、仙人と心を通わせることで彼ら自身にも心の変化をもたせる。