愛知淑徳大学
都市部における廃校の跡地活用
- 名古屋市におけるサード・プレイスの提案 -
夏目恵輔 / メディアプロデュース学部 都市環境デザインコース
近年、少子化などの社会問題により、廃校となる小学校が多く存在している。廃校の跡地活用への規制緩和は行われつつあるが、活用方法が決まらず手付かずのままの状態である事も少なくはない。学校とは誰しもが慣れ親しんだ空間であり、思い出の多い空間である。そのため、本計画では廃校の活用方法と都市の在り方について、計画した。都市の在り方として、社会学者であるレイ・オールデンバーグが自著の中で定義づけているサード・プレイスを計画の核として扱った。このサード・プレイスという視点から、日本の都市を見てみると、都市再開発事業で整備される施設は、住宅(ファースト・プレイス)と職場(セカンド・プレイス)に偏重している。社会資本が一定の整備を終えた今の都市には感性資本が求められていると感じたため、居心地のいい場所(サード・プレイス)を計画した。
第一の場(ファーストプレイス)を持たない人は“ホームレス”、第二の場(セカンドプレイス)を持たない人は”失業者”と呼ばれ、いずれも社会的に不名誉な位置づけとされている。日本では、二つ以外の居場所を持たない人は勤勉と呼ばれている。この言葉は社会的に名誉な言葉かもしれないが、人間的には不名誉だと考える。自分自身の居場所を持てずに都市を通り過ぎるだけの一日ではなく、自分だけの居場所を持つ事で生活にゆとりを持つ事が今を生きる人には必要ではないのか。