科学の発展により我々は瞬時に世界とつながり、医療の発展はガンを不治の病でなくした。それらに比べて建築はどれだけの進化をしてきただろう。今住んでいる家は、石をせっせと積んで作っていた家と大差があるだろうか。建築はもっと進化できる。もっと多くのことを実現できる。そのような思いがあった。建築の未来を想像した時に、そこにはどのような風景があるだろう。私が未来の建築に見るのは、軽さである。道は空へと拡大し、建築は軽くなり浮遊をはじめる。その時、「テンセグリティ」という構造の可能性は最大化する。Richard Buckminster Fullerは人口増加時代を予測し、テンセグリティの概念によって大衆のために住宅の入手性の爆発的向上を目指した。現在、そして未来。より少ない資源で、最大限のパフォーマンスを引き出すことが求められる時代。テンセグリティにはさらなる意味を見出すことができるはずである。その土地の物から、圧縮材と引張材となるものを発見し、構築されるテンセグリティバナキュラー建築。テンセグリティは確かにこれからの建築を刺激していくと思う。この卒業制作はそんな未来建築の試作品である。
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