拓殖大学
工学部 デザイン学科卒業研究および工学研究科 情報・デザイン工学専攻修士研究の事例紹介
呼吸器系疾患による苦しさと痛みのレベル評価ツール
- 鈴木優也
- 工学部 デザイン学科 感性インタラクション研究室
本研究は、苦しさと痛みをモデル化するうえで、必要なデザイン構成要素を明らかにすることを目的として、その要素を取り入れた立体ディスプレイとして設置できるレベル評価ツールを開発した。
デザイン要素の選定として、文献調査から呼吸器系疾患の苦しさと痛みの表現を「炎症度」と「閉塞感」の2つのポイントに絞り、症状の段階的変化の表現方法の検討と検証を重ねた。炎症度モデルは、感覚を視覚で伝達することに加え、実際に触れることで症状の理解に繋がると考え、痛みを想起させる質感を彫刻で表現した。閉塞感モデルは、気道が膨張する様子をデザイン要素として選定し、狭窄感を持たせることで症状の変化を表現した。また、炎症度モデルの上に閉塞感モデルを重ね合わせることで、2つの症状を同時に可視化できる。
ツールを用いて実験を行った結果、使用感においては炎症度モデルが有意であった。また、従来の手法よりも自己感覚を再現しやすいツールであることが証明できた。