東京工芸大学
RELIGHT
倉知 優歌 / 芸術学部 デザイン学科 ヒューマンプロダクトコース
満ち足りた暮らしを送ることのできる現代。コンピューターを駆使し誰もが見たことの無いような造形を生み出すことや、洒落の利いたコンセプトやアイデアを追い求めることなど、デザインという行為の中により強い刺激が求められています。これらは時に大きな感動をもたらしますが、モノそのものや素材の質感や佇まいにこそテクノロジーやアイデアをも超越する本質的な価値や喜びがあると考えました。本制作は今そこにある素材を主とし、向き合うことで生まれるデザインを模索したものです。
素材の最も美しい姿を主とするため注目したのが「計算外の変化」です。割れ、朽ち、錆びなどの「計算外の変化」は素材本来がもっている特性を引き立たせる効果があります。本作では元々古民家で建材として使われていたという背景がありながら自然が生み出す表情を持つ古材を、「計算外の変化」のメタファーとして用いました。自然が作り出した表情に不変の価値を見出し、形体の主役にする。人は少し手を加えるだけ。それだけで十分美しいものを作ることができるのです。