日本のマンガの良いところは、コマ割りの技法など「間」を非常にうまく使う豊かな時間的、空間的表現にある。2011年現在、電子機器の発達によりマンガは紙媒体から電子書籍に移行しようとしており、技術の進歩と共にコマ割りの表現が失われてしまうように思う。
そこで、マンガの持つモチーフや空間的表現を落とし込んだ複合施設を制作することでマンガ文化を継承するひとつの手段になると考えた。
マンガは描かれる部分(コマ)と、コマの間にあたる部分(間白)で構成される。役割を持った各空間をコマと、間白をコマの間を移動する通路と捉えて施設を構成した。施設は上下二層、コマ割りを中心としたマンガの表現を地上階のカフェや本屋、地下の展示空間などに落とし込んで制作されている。遠い未来、人々がマンガを忘れたとしても遺跡は語るだろう。
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