水や空気は、そこに存在するのに同じ状態で留める事のできない、不確かな存在です。その不確かさは時として人々を包み込み、心地よさや安らぎを与えます。けして特定の形に留まる事のない存在に包まれる心地よさ。そんな、輪郭の不確かな存在を空間に表現しようと考えました。
輪郭の不確かな存在を存在させるために、建築空間ではなく舞台美術を表現方法として用い、制作を行いました。人が生活する空間では不安定で受け入れられない存在も、舞台の上では豊かな表情として受け入れられ、まるで現実のものとなったかのように、存在する事を許されます。それは水や空気でさえも1つの目に見える形を持つ事ができます。
今回は、そんな輪郭の不確かな存在の1つ、水中を生きる物語。アンデルセンの「人魚姫」を題材に、舞台化する事を想定して舞台美術の提案を行いました。
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