本研究は、近年量産製品の材料としては利用価値の低かった杉材を有効に利用する為に開発された圧密加工という技術に着目し、新たな利用方法を模索し導き出したものである。
杉の圧密加工工場を見学、職員の方々へのリサーチを経て自らも素材の加工、検証を重ねながらその性質を生かしたオリジナリティの高いプロダクトの提案を行った。ダイニングテーブルでは圧密材の強度を構造に生かす事で厚さ10ミリという薄い天板のダイニングテーブルを実現。チェアーでは背と座に圧密材の特殊な弾力効果を利用し、座る事で木材が湾曲する新たな使用感覚を実現した。
このように杉の持つ意匠性、実用性、固有性を引き出す製品を提案する事で、その他の広葉樹や針葉樹ではなく杉という素材独自のイメージをユーザーに持たせ、杉という日本固有の木材について考えるきっかけとしての製品になってもらいたい。
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