子どもの頃は日常がいつも新鮮であらゆるものに驚いて予測できない期待と不安を抱えながら、壮大な夢を持っていた。大人になってもこの頃の記憶と経験が今現在の私たち自身を形成している部分は大きい。しかし、制限の多い病院で過ごす子どもたちはどうだろう。大半は外界から隔離され、閉鎖された白い箱の様な空間で時の長さをじっくりと感じることのできないネガティブな印象が強い。一方では、病院空間を豊にする活動としてホスピタリティアート、ホスピタルクラウン、クリニクラウン等がある。病院スタッフと患者が一体となってアートやユーモラスな活動や道化師により、心の治療をする。私はこのように、空間自体が人を笑顔にさせる病院をつくりたいと考えた。ここで過ごす子ども達が空間的幻想[Fantasy]を体験し、過ごせてよかったと思える病院を提案したい。Fantasyは効率と機能ばかりが優先している今の病院空間に必要な要素ではないだろうか。
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