油画の重層構造に着目し、建築空間を平面的に表現することで、その魅力を伝えようと試みた。
油画の重層構造とは、透明な絵の具と不透明な絵の具との重なりのことである。この効果を生かして、下層部分を上層部分に透けさせたり、完全に隠したりすることで生まれる複雑な色調は油画の魅力である。今回の制作は、油画の重層構造を応用し、ガラスや木、鉄などの建築素材の透明、不透明の性質を意識しながら、コラージュしていくことで、画面に無数の小さな空間を生み出すといったものである。そして、空間の一つ一つに1/50スケールの人や家具、木々を配置し、空間にリアリティを持たせ、油画とは違う建築的な魅力で画面を埋め尽くす。
絵画を鑑賞するように気軽に建築空間を鑑賞してもらい、画面上に見え隠れする空間の広がりや、平面的な空間に対して想像を膨らませてもらうことで、建築空間に興味や好意を皆が持ってもらえたら良いと思う。
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