東京造形大学
上野伊三郎の竹製椅子の復元 Isaburo Chair
寺澤由樹 / デザイン学科 インダストリアルデザイン専攻領域
群馬県には群馬県工芸所という地場の資源を利用し、輸出工芸の奨励や農山村副業、中小商工業に対しての工芸指導を目的にした組織がありました。
そこで所長をしていた上野伊三郎という建築家がデザインをした竹製の椅子が偶然にも熱海の日向邸で破損の激しい状態で発見されました。
Isaburo Chairの特徴はどこにでも豊富にとれる「篠竹」という女竹の一種を利用していること。竹の特徴である丈夫さや軽さ、また繁殖力の高さを兼ね備え、いわばサステナブルな素材で構成されている椅子です。また農村の農閑期の余剰労力を利用して雇用を創出することを目的として作られていたものです。つまり、コストや輸出、雇用そして熟練した技術を持たない人でも比較的容易に組み立てることができるデザインになっています。
isaburo-chairの復元は、地域文化、地場産業の保存だけでなく、ものづくりや現代のデザインの在り方を検討し直すきっかけになり、今後の産業を支える一つのモデルプロダクトになり得る可能性があるのではないでしょうか。