東京造形大学
ランドスケープのものさし
森健太郎 / 美術学科 絵画専攻領域
「ランドスケープのものさし」は、ステージ上で即興的に行われる組体操のパフォーマンス、過程の映像、使用した道具を集めることで構成されています。
タイトルの「ランドスケープのものさし」は、「場のデザイン」(槇文彦、三谷徹=編著 彰国社)から引用しました。わずか数cmのディテールの集まりから広大な風景のランドスケープが成り立つという考え方が、美術作品の製作過程、さらには我々の社会の構造とも類似している点があるのではないかと考えました。
我々の社会の多くの場面で、物事の過程や途中で起こる出来事は隠され無かったことにされるか、従属するものとして二次的に扱われます。また逆に、過程ばかりが重要視され、結果が伴っていない物もあります。「ランドスケープのものさし」では、製作の過程での出来事や過程で関わった人々、道具、完成したもの、それら全てが同価値であり、同等に重要なものとして存在できないか試みています。
ステージ上にて即興で組体操を行う姿は、関係性を構築する過程や途中で起きる出来事が、完成したものと同等に重要であることを表しています。