多摩美術大学
せつないこと
藤田えみ / 大学院美術研究科 博士修士課程 工芸専攻
私は「せつない」という感覚を、嬉しい、悲しいなどのはっきりと言葉で表現出来る感情の隙間にある曖昧な感覚として捉えています。
なぜならせつなさは、個々の人間の記憶や経験といった内側に抱えている事柄に起因して起こる感覚であり、これがせつないことだと言うのはとても難しいことであるように思うからです。
少し大げさな表現かもしれませんが、私にとって「せつないについて考える」ことは「生きることについて考える」ことと同じ意味を持っているように感じています。