卒展レポート

東京造形大学

2018年度 東京造形大学 ZOKEI展

  • File:1952-2018
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宮城 真美
造形学部デザイン学科 写真

私には96歳の曽祖父がいる。

曽祖父は14歳で漁師になり、戦争に行き、無事に帰ってきてからまた船に乗っていた。やがて船の無線長となった曽祖父は、1952年・30歳の時初めてカメラを買い、趣味で写真を撮り始めた。

曽祖父は、私がこの大学に入学した時、古いフィルムカメラを何台も譲ってくれた。その時私は初めて、曽祖父が昔趣味で写真を撮っていたことを知ったのだった。なんでも凝り性で几帳面な曽祖父は、家に暗室を作ってプリントまでしていたこともあるらしい。さらに詳しく話を聞くと、未整理のネガやプリントの入った缶があちこちから山ほど出てきて、欲しいのなら持っていけと、出てきた写真すべてを託された。

激動の1世紀を生きている曽祖父。

その曽祖父が残した未整理の写真の山が、半世紀を経て今写真を学ぶ私の手元にあることは、とても偶然とは言い切れない気がした。不思議なようでいて必然性のある、血縁以外でのしなやかな強いつながりが、きっと私と曽祖父の間には流れている。これは、96歳になった曽祖父が写真を撮り始めた1952年から2018年現代の私にいたるまでの写真をアーカイブした親子4世代にわたる、壁面家族アルバムである。

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