卒展レポート

東京造形大学

2018年度 東京造形大学 ZOKEI展

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田村 連
造形学部デザイン学科 写真

バス停を撮り始めたきっかけは、バス停に置かれた椅子だった。自宅最寄りのバス停の椅子が使い古され、役目を果たせなくなると、誰かが新たに椅子を置いていった。タグのついた新品の椅子、家で使わなくなったのであろう使用感のある椅子、種類も数も多様である。そこに住む人の親切心なのか、別の理由なのか、不定期に変わっていった。

その地域に住む人の生活の一部、想いの一部が椅子という物を通して垣間見える場所としてバス停を撮影し、都心、田舎、近郊、など場所を変えて撮影することで地域ごとに違いが見えてくるのではないかと考えた。今回は、自分と関わりのある地域、町田市、相模原市を中心として、東京、神奈川のバス停約18,000箇所(国土交通省調べ)ある中で約700箇所を撮影した。撮影を続けていくうちに、地域ごとの違いが最も見えてきたのは、都市近郊であった。住宅が多く並ぶ都市近郊の景色は生活の気配が感じられ、どこか見た事のある景色でいて、それぞれに地域差が見られた。

バス停を一定の構図で撮影し並べる、タイポロジーの手法をとる事で、バス停が都市近郊の景色を鮮明にする窓となり、現代の社会的景観を写し出していた。

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