金沢美術工芸大学
金沢美術工芸大学 第59回 美術工芸学部卒業制作展/第36回 大学院修士課程修了制作展
壁の新しい在り方
- 林 燿俊
- 美術工芸学部デザイン科 環境デザイン専攻
一人暮らしの住環境は、部屋が狭いことによって様々な問題を引き起こします。飲み会などで友人を招いたときなどは窮屈になりがちです。また、来客用に椅子や座布団を別途用意することで物が増えてしまう事もスマートではありません。私はこのような狭小空間における問題に着目し、物を増やさずに心地よい居場所をつくれる機能を提案します。解決策は「耐力壁」に対して構造の自由度が高い「間仕切り壁」に新たな機能を与え有効活用することです。壁材に伸縮性の高いポリウレタンクロスの一種を用い、壁内の梁を座面として「壁に座る」ことができます。壁内にスポンジ系ウレタフォームを取り入れることで低反発な壁面に寄りかかる事が出来ます。更に壁面全体が内側から発光する照明も組み込みました。壁が間接照明としての役割を果たします。夜、睡眠の前の読書に淡い光が欲しい時に活用するなど来客時以外の用途としても発揮します。1Kの間取りの中でキッチンと居室を間仕切る壁に、「座る」・「もたれる」・「光る」機能をもたせることでスペースはそのままに暮らし方の可能性が拡張するのではないでしょうか。