金沢美術工芸大学
金沢美術工芸大学 第59回 美術工芸学部卒業制作展/第36回 大学院修士課程修了制作展
美術館のための電動車椅子
- 鈴木 僚
- 美術工芸学部デザイン科 製品デザイン専攻
高齢期における美術鑑賞は心を豊かにし、生活の質を高める。しかし美術館では長時間の歩行や立ち姿勢での鑑賞を強いられるため、高齢者が快適に利用できない現状がある。また導入されている車椅子は座面高が430mmと低いため、作品を見上げてしまう、家族や同伴者との見え方に差が生じる等様々な問題が発生している。これでは鑑賞や周囲とのコミュニケーションが考慮されているとは言えない。そこで利用者の安全性や周囲との関係、作品展示基準等から座面高を600mmに設定した美術館で使用する車椅子を提案する。利用者が恐怖感を抱くことなく最適な鑑賞体験を得られるよう検証を重ね、車椅子に対するネガティブなイメージを払拭するデザインを目指した。今後、新しいパーソナルモビリティーの原形として駅や空港、病院、ショッピングセンターなど様々なシーンへ形を変えて活用の場が広がることを期待する。