岡山県立大学
PAPER BAGS
本多 理乃 / デザイン学研究科 造形デザイン学専攻 テキスタイルデザイン学領域
本作品は修士研究「異素材と組み合わせた紙の造形表現」において制作した作品です。研究では、従来の紙の概念にとらわれることなく、紙の原料にさまざまな素材を用いることによって独創的な紙の作品を提案することを目的としました。PAPER BAGSでは原料にアルミ繊維と綿糸を組み合わせ、作品全体に空気を含んだような透明感を持たせました。また、溶け、流れそして消えていくという一連の流れを持つ模様をほどこすことで、外部とは異なった、ゆったりとした時の流れを作品に与えました。これは日頃、接する紙(効率化を求めた、せわしない世界を背景に生み出された紙)とは無縁の世界であり、私が本作品の独創的な部分として最も主張したい部分でもあります。作品の形は紙製品の中から選択しました。これは、作品の紙がたとえ、どのような姿をしていても、作品自体は「紙の作品」として捉えてほしい、という思いがあったためです。中でも紙袋は、自身が理想とする形状と一致していたため、作品の形にしました。作品は30点あり、色や形状には差異があります。複数の中から気になる作品を選び、時には手に取り、様々な想像をめぐらすことで作品が持つ、ゆったりとした溶け漂う世界に浸ってほしいです。