日本大学芸術学部
風景をさわる
諏訪 まり沙 / デザイン学科 コミュニケーションデザインコース
風景というものは、それ自体を触ることはできない。でも、その風景の中に歩いてゆくと、そこに在るもの、足下に落ちているものは、自分の体の近くにたぐりよせ触ることができる。触れることのできる「質感」は、風景を作り出している素材としての「質感」である。ならば、風景を見ていなくても、そこに落ちている「質感」を感じることができれば、逆に、その場所の空気を想像することもできると思った。質感の断片を採集する風景として、自宅の横にある小さな森を選んだ。葉脈や樹皮の凹凸や、きのこの湿りなどを鑑賞者に強く感じさせ、実際の森の風景を見ていなくても、森を散策したような感覚にさせることを目指した。