デジタルハリウッド大学
ECIRAVA
金子 大祐 / デジタルコミュニケーション学部デジタルコンテンツ学科
誰しもが持つ「欲望」をテーマにしています。
ある路地裏に、放置されたたくさんのホームレスのカートと粉々に割れたひとつの姿見があった。とあるホームレスの男レオンは、その放置されたたくさんのカートを発見する。総じて自分と同じような、いかにもホームレスなカートばかりだ。持ち主が近くにいないようだったので、レオンはせっせとその中身を盗み始める。
レオンが夢中になってカートを探っていると、粉々の姿見が。魔法がかかったようにレオンの背後でひとりでに修復する。レオンは背後に何か気配を感じ取り、振り向く。こんな姿見あったっけ? と不思議に思い、近づいてみる。するとおかしなことに、自分の姿が映らないではないか。ただ、手に持ったお金だけは宙に浮かぶようにして映っていた。レオンが不思議がってそっと鏡に手を触れてみると、なんと自分の手が鏡の表面を通り抜けた。そこで閃いたレオンは、試しに鏡の世界に浮かぶお金を盗んでみる。そして見事、お金を二倍に増やすことに成功する。
調子に乗ったレオン。今度は自ら鏡の世界に入り込んで盗み始める。 盗みは徐々にエスカレートしてゆき、最後には鏡の世界の自分のカートまでも盗もうとする。しかし姿見のふちに足を引っ掛けてしまい、レオンに覆い被さるように姿見が倒れ、粉々になる。レオンは鏡の世界から帰られなくなるのだった。しばらくして、また別のホームレスがその路地裏にやってくる。